【禁止令①】「自分は愛される価値が無い」「他人を信じてはいけない」など、存在に関する6つの禁止令【心理学】
プロファイリングと交流分析を使った「生き辛さの解消」や「相性・人間関係のモヤモヤ解消」のサポートを行っています。
JCPA認定子育てコミュニケーション心理士。
関西の諸大学にて英語講師業、身体も心もほぐす足圧ボディケアも行っています。
・どうせ自分は人から愛されないから
・人を信じたって裏切られるんだから、他人を信じない方が良い
・私、自己肯定感が低いんです、、、
そんな風に自分も他人も信頼出来ない状態。
出来れば人から愛されたいし、愛したい。
可能なら人を信じたい、でも信じたらどうせ裏切られるからやっぱり信用出来ないよ。。。
そんな風に思ってしまうことってありますよね。
実は、こんな生き辛さを持ってしまう原因の一つに【禁止令】というものがあります。
禁止令とは、「~しなければならない」「~でいなければいけない」というように自分自身を縛ってしまう思い込みのようなもの。
多くの人が子供の時に「生きる為」や「親の愛情を貰う為」に自分で自分を苦しめるルールを自分で決めてしまい、それを大人になっても抱え続けてしまうことで生き辛さを感じてしまうのです。
自分がどんな「禁止令」を持っているかを自覚し、再決断(思い込みを自分で書き換える)ことでそんな生き辛さを緩和させることが出来ます。
今回は、全25種類ある禁止令の中から「存在」に関する6つの禁止令とそれぞれの再決断方法をご紹介します。
①【存在するな】
(私は愛される価値が無い)
②【重要であるな】
(私は大切にされなくて当然だ)
③【健康であるな】
(病気やケガの時だけ関心を持って貰える)
④【正気であるな】
(自分は普通で居てはいけない)
⑤【信頼するな】
(裏切られるから他人を信頼してはいけない)
⑥【触れるな】
(他人に甘えてはいけない)
1)「存在」に関する禁止令6つ【今回の記事】
目次
①【存在するな】(私は愛される価値が無い)
1つ目は【存在するな】という禁止令です。
これは、
・私はここにいてはいけない
・私は愛される価値がない
・私は死んだ方が良い
と自分で決断する(思い込む)禁止令です。
もし貴方が今までに本気で「死にたい」「消えてしまいたい」と思った事があるならば、この禁止令を少なからず抱えていると言えます。
この「自分は存在してはいけない」という禁止令を抱える原因は、例えば
・親から無視されたり虐待を受けたりしたことがある
・愛する人の自殺
・他人から愛情を貰えていないと感じたり、自分の存在を受け入れて貰える場所が無いと感じる
・親の不幸の原因をまるで子供の側にあるように感じさせる言動を親から受けたことがある
(「お前さえいなければ私達の人生はもっと良かったはずだ」「お前のせいでウチはお金が無い」「私だって海外旅行や留学もしてみたかったのに」)
などが挙げられます。
日本では特に学生時代などにイジメを受けたり、友人が居らず孤立したり、好きな人や恋人に冷たくされたりして「死にたい」と思うことがよくありますよね。
それももちろん原因の一つではありますが、「禁止令」はもっと幼少期(2歳~8歳程度)に原因がある場合が多いのです。
どんな状況でこの禁止令が起こり得るか、具体例を見てみましょう。
子供に嫉妬心を抱えてしまう父親の事例
とある男の子が居ました。
この男の子は3歳離れている弟が居ます。
今まで親の愛情を独り占め出来ていたのに、弟が生まれた時に
あれ?お母さんの愛情がボクに向いていない、、?
とある子供
弟ばっかり、ずるい
とある子供
と強く思いました。
母親はそんなつもりは無いものの、どうしても幼い弟の方に気が向いてしまいます。
この男の子はそんな「弟の方に愛情が向いていて自分に向けられる愛情が少なくなった」ことを非言語的に、無意識に感じ取っていました。
さて、この男の子が大人になり結婚。
奥さんが妊娠して、初めて息子が生まれました。
するとどうでしょう。
今まで自分に向いていたハズの妻の愛情が幼い息子に向き始めました。
当たり前と言えば当たり前なのですが、妻は大人である旦那よりも幼い我が子により多くの愛情と時間を注ぎます。
その旦那が”大人”になって妻と一緒に子育てをし負担を出来る限り掛からないようにしたり、妻も旦那が寂しく感じない程度に愛情を注げたら良いのですが中々難しいこともあります。
そんな折に、無意識に幼少期の記憶が蘇ります。
「自分が貰っていたハズの母親の愛情が、幼い弟に奪われてしまって凄く辛い」という思い出が。
そしてそれが今の自分の妻と、自分の息子に重なって見えてしまうのです。
そこからハッキリと自覚はしていないものの、この男性は自分の子供に対して嫉妬心を持ちながら接してしまいます。
言葉にはしませんし、自分としては普通に子供と接しているつもりでも子供は敏感にそれを感じ取ります。
この男性は非言語的コミュニケーション、接し方や態度で
「お前が居なければどんなに良いか」
「お前さえ居なければ俺が愛情を独占出来るのに」
という【存在するな】のメッセージを子供に送ってしまうのです。
そうしてこの幼い子供は
・何故か父親は自分に厳しい
・父親は自分が居ない方が嬉しいのではないか
そんな風に、言葉は無いけれど父親の態度から感じ取ってしまうメッセージを受け続け、「自分は居ない方が良い」「自分は愛される価値がない」という禁止令を自分で抱えてしまいました。
この子供が何か悪い事をした訳ではありません。
ただ、「父親が自分のことが嫌いなんだ」「その原因はボクだ、自分が悪いんだ」と思ってしまうのです。
【存在するな】を緩めるための再決断
あくまで例ですが、幼い子供は上記の事例のような形で非言語的に【存在するな】を受け取ったり自分で抱えてしまいます。
言葉ではなく、接し方や態度で親からストレートに愛情を貰えていないことを悟り、それをまるで自分が悪いことのように思ってしまうのです。
それは生きている上では仕方が無いこと。
親も完璧な人間ではないので、どれだけ努力してもこうなってしまう場合は当然あります。
ただ、子供の頃は仕方が無いとしても、大人になってもこの禁止令が続いているとどうしても「生き辛さ」を抱えてしまいます。
そこでこの【存在するな】という禁止令を自覚した場合、それを緩めるために再決断(違う考えを自分で設定し直す)すると良いのです。
再決断の方法としては
・「私は生きる価値がある存在である」という事実に気付く
(⇒そもそも生きる価値が無い人間は存在しない)
・周囲の誰かが自分を貶めても、この事実は変わらない事を理解する
・今までに少しでも出した良い結果、他人が出来ないけど自分は出来た結果を思い出す(成功体験を理解する)
・「じゃあ”今から”他人に喜んで貰えるような価値のある人間になろう!」と決断する
(過去がどうあっても、今から現状を変えることは自由に出来る)
などが挙げられます。
【存在するな】から来る影響
また、この【存在するな】の禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響があります。
以下の事柄に当てはまる場合、この禁止令を抱えている可能性が高いでしょう。
・生きる事に絶望したような言動
・生きる価値が無いような感覚
・生きることに罪悪感を覚える
・積極的に死にたいとは思わないが、生きて居たくないと思う
・人を殺したい、他者を傷付けたいと思う
・いくつもの死別を体験している
・誰からも愛されていない感覚を持っている
・ワーカホリック
・過度の喫煙や飲酒
・無謀な車やバイクの運転をする
・うつ病
・パーソナリティ生涯
・依存症
・摂食障害 など
②【重要であるな】(私は大切にされなくて当然だ)
2つ目は【重要であるな】という禁止令です。
これは、
・私は重要な存在でいてはならない
と決断する(自分自身で思い込む)禁止令です。
「自分自身のことを重要な存在ではない」と思い込む禁止令、もっと端的に言えば
・自分は雑に扱われても仕方が無い
・大切にされなくて当然の人間だ
・敬語や対応など、丁寧に接して貰えないが文句は言えない
という言葉で表せます。
敬語に関して社会で生きていれば仕事関係や上下関係も関係して来るでしょう。
ただそうではなく、これらの思い込みがもっと根本的な「自分の生き方の基準」になっている場合この禁止令を抱えているでしょう。
またこの禁止令を持っているが故に、反対に過剰に自分の価値を示そうとする態度を取る場合があります。
例えば
・過剰なプライドを持っている
・人の反応や態度に敏感になっている
・自分の価値観が至上の物だと考え、それに反している人には攻撃する
・相手より優位に立とうとする、とにかくマウントを取ろうとする
・相手を支配しようとする
など
この【重要であるな】の禁止令は、幼少期に親から雑に扱われたり特別扱いして貰えなかったりなどで「お前は大切な存在ではない」という言葉や態度を他人から受けてしまうことが多かった場合に抱えてしまいます。
また「あなたは大切な人間だよ」「さすがお母さんの子だ!」などという『無条件の肯定』をあまり得られなかったり。
「テストで良い点数を取ったから偉い」「言う事を聞いたから良い子」などのように『条件付きの肯定』ばかりを受けていた、、、という場合にこの禁止令を抱えてしまう場合もあります。
【重要であるな】を緩めるための再決断
では、この【重要であるな】を緩めるための再決断方法を見てみましょう。
・何か成功したor 失敗したは関係なく「自分は重要で大切な存在だ」と認識しようと決断する
・それを日常で認識し続ける為に自分に愛情を与えてくれ大切にしてくれる人との関係に身を置く
(⇒逆に自分に対して雑に対応してくる人間と可能な限り一緒に居ない、と決める)
という事をする必要があります。
特に日本では多くの人が「自分は重要な存在だ」と認識するのを避けようとします。
ですが傲慢になったり偉そうにする必要はなく、自分自身の生き方や意志を大事にすることは重要なのです。
【重要であるな】から来る影響
【重要であるな】という禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響がこちら。
・他人に対して「いかに自分が重要な人間であるか」を示そうとする
・マウントを取ろうとする
・過剰なプライドを持っている
・人の評価や反応に敏感
・他人は良いけど自分はダメだ(I’m not OK, you are OKの状態)
・褒められるのが苦手、素直に受け取れない
・自身が無かったり、本番で力を発揮できない
・自分の弱みを見せない
・自分の間違いを認めようとしない
・うつ病
・新型うつ病(反抗的決断の状態が強調して見られる)
・パーソナリティ障害
③【健康であるな】(病気やケガをしていれば関心を持って貰える)
3つ目は【健康であるな】という禁止令です。
これは、
・私は健康でいてはいけない
・何かしら常に病気やケガをしていなければならない
(⇒何かしら不調でいれば親や他人から関心を持って貰える)
と決断する(自分自身で思い込む)禁止令。
「自分が病気でありたい」「不健康でありたい」と思う人なんて居ないように思います。
ただ、この【健康であるな】という禁止令を決断した人は無意識レベルで自分が病気になることを願っているのです。
何故ならば「病気である」「不健康である」という状態の時だけは他人から関心を持って貰えると思っているから。
例えば、自分が幼少期に母親がずっと朝から晩まで仕事漬けの毎日だった。
寂しいとは思っていたけど、自分の為に忙しく仕事をしているのもよく理解しているので何も言えない。
そんな時に自分が風邪を引いた時だけはずっと傍に居てくれる事が嬉しかった。。。。
また、寂しがり屋で十分に愛情を貰えていなくて辛い思いをしていた女の子が居た。
恋人が出来たけれどいざ付き合ったら全然大事にしてくれない。
だから、恋人の関心を引くためにワザとケガをしたり病気になったりする。
あまり意識はしていないけれど、ついそうなってしまう。。。。など
故意にとケガや病気にはならないけれど「出来る限り自分の健康には無頓着でひたすら働く!」という場合にもこの禁止令があてはまります。
頑張らなきゃ!働かなきゃ!と無理をしてでも働き続け、
・「病気になった時だけは休息を取れる」
・「労(いた)わって貰える」
という無意識の思い込みがあるのです。
幼少期に親御さんがひたすら働いているのを見て育ったり、「休むこと」がまるで悪い事のように感じるような育てられ方をするとこのような禁止令を抱えてしまうでしょう。
どちらにせよ、自分が病気になったりケガをした時にだけ「他者からの愛情や関心を得られる」、また「自分の健康は気にせずに努力しなければならない」という思いがあるのです。
【健康であるな】を緩めるための再決断
自分から故意に不健康になって行こうとする【健康であるな】という禁止令。
これを緩和させるためには
・人からの関心を引く為に「自分を病気にする」という手段は使わない
・自分を病気にしない
と再決断することが必要になります。
自分の身体を自分で労わり、癒しや休息の時間を持つこと。
「自分がやるべきこと」に全ての時間を費やすのではなく、他人との交流や楽しみの時間を持とうとすることが大事なのです。
【健康であるな】から来る影響
【健康であるな】という禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響がこちら。
・「ストレスがある状況になると病気になる」というパターンを繰り返す
・病気になった時だけは人から優しくされたり大切にされる、という感覚がある
・病気になった時だけ休めて嬉しい、と思う
・病気やケガをした時になぜか嬉しい気分になる
・「無理に頑張って疲れ果てたい」という感覚を持っている
・癒しや安らぎの時間を軽視しており自分を大切にしない
④【正気であるな】(自分は普通で居てはいけない)
4つ目は【正気であるな】という禁止令です。
これは、
・自分は狂気的な行動をしなければならない
・普通で居てはいけない
などの影響で決断する(自分自身で思い込む)禁止令です。
普段は愛情や関心を貰えないが、自分が狂気的な行動を取る時だけは親や他人から関心を引けて自分が満足出来たり。
幼少期に耐えがたい恐怖や悲しい経験を持ち、それを憎しみや復讐心で覆い隠して生くことを決めたり。
ただ、その憎しみや復讐心が大きくなりすぎて狂ってしまうのではないかと思ってしまい、それを誤魔化す為に自分からワザと正気を逸脱しようとしたり。
そんな出来事や思いが原因となって決断する禁止令なのです。
また身近な「お手本」になる大人が精神病などを患っており、それを生き方のモデルにしてしまったが故に自分も無意識にそれに近付こうとしたり等。
上記の事柄が複合的に重なってこの禁止令を抱えてしまう場合もあります。
【正気であるな】を緩めるための再決断
ワザと狂気的になり人の関心を引こうとする【正気であるな】という禁止令。
これを緩和させる為には
・私は正気を失わない
と心に決めることが必要になります。
自分が狂ってしまいそうな、おかしくなってしまいそうな感覚は自分でコントロール出来る。
だからもう絶対に正気を失わない、と決断するのです。
また、少しずつ「憎しみ」を手放して行き最終的には幼少期の親のことを許してしまったり。
もしくは「もうあの人達のイヤな思い出に囚われない」「過去の出来事に執着して苦しむのは止める」というように、苦しみの原因から離れていくことにより再決断が完了します。
【正気であるな】から来る影響
【正気であるな】という禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響がこちら。
・幼少期に身近な人に精神病の人間が居た
・いつか正気を失ってしまいそうな不安がある
・正気を失った時に初めて人から関心を持たれたり、愛して貰えると思っている
・惨めさから抜け出せない感覚を強く持っている
・正気を失った方が楽だ、と思うことがある
・幼少期から、親に対して気が狂いそうなほど強い憎しみを持っている
・不自然なぐらいに自分の言動が「普通」であるかを気に掛けている
・パーソナリティ障害
⑤【信頼するな】(人を信頼してはいけない)
5つ目は【信頼するな】という禁止令です。
これは、
・他人を信じてはいけない
・自分が傷付かない為に、人を決して信頼してはいけない
と決断する禁止令です。
人に期待を寄せていたり信頼していたのに裏切られてしまい傷付けられた体験から、人を信用することを恐れることでこの禁止令を持ちます。
また、
・親がアルコール依存症や精神病などで親の言動を信頼できなかった場合
・親がそもそも他人を信頼しておらず、そんな疑り深い親から繰り返し「人を疑りなさい」と教えられた場合
に決断することもあります。
この【信頼するな】という禁止令。
「他人を信頼しない」と決断した場合、この人は他者に対する評価基準を誰でも失敗するくらい極端に高くします。
そして「他人を信用出来た例」には目もくれずに「信用できなかった例」ばかりを集めて、他人が信頼に値する能力を持っていることを認めようとしません。
期待していたことに対して90点ぐらいで返って来ても、100点までには10点も不十分じゃないか!というような形で。
そうして他者に対する評価基準を驚くほど高くし「信用できなかった例」ばかりに目を向ける事で、更に「やっぱり他人は信用できないんだ」という信念を自分自身で強化していくのです。
同時に、今自分が安全に生きていられるのはこうして人を信用しないからだ、と信じています。
要は他者の言動の多くを「やっぱり他人は信用できない」「自分は正しい」というゴールに向かう為に解釈していく、ということですね。
【信頼するな】を緩めるための再決断
この【信頼するな】を緩める為に再決断する方法。
それはまず「人を疑り深く見ていたり、信じていない事から来る緊張感は不快である」と認識することから始めます。
安心出来る人が居らず、周りが全て敵であるかのような状況はそもそも人間にとって心地良くない状況です。
それを認識してみること。
そして「自分が信用したい人」を決めるのです。
周りを全て信頼する必要はありませんが、「この人を信用したい(信用に値する評価基準を満たしているかは別として)」という人を決める。
そして実際に少しずつでも信用する練習をしてみたり、関りを増やしていく。
不安や心配よりも、信用することによる心地良さを感じていくことをゴールに設定するのです。
【信頼するな】から来る影響
【信頼するな】という禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響がこちら。
・「自分しか信じられない」という言動が見られる
・他人から罠に嵌められるのではないか、という不安がある
・信じられるものなんてこの世には無いと思っている
・過剰にその場の空気や状況をコントロールしようとする
・過剰に用心深い
・自分自身のことを他人に話すことに対して不安が強い
・自分は他人から騙されたり傷付けられやすい人間だと思っている
・他者の言動から敵意や攻撃性を異常に感じ取りやすい
・お金、社会的地位や評価、学歴などに強く固執する
・妄想性、境界性、反社会性パーソナリティ障害
⑥【触れるな】(自分は他人に甘えてはいけない)
最後、6つ目は【触れるな】という禁止令です。
これは、
・他人に近付いてはいけない
・他人に触れてはいけない
・他人に愛情を求めてはいけない
・甘えてはいけない
と決断する(自分自身で思い込む)禁止令です。
これは幼少期に母親に抱っこして欲しいのにして貰えなかったり、手をつなぎたいのに無視されたり。
充分なスキンシップがないなどで愛着形成が不十分な場合、「自分は人に触れてはいけない」「甘えてはいけない」と他者との接触を自分から回避するように決断する禁止令です。
なぜ他者との接触を回避しようとするのか。
それは接触を試みるということは、過去に接触を試みたがそれを受け入れて貰えず、「自分が深く傷付いた」という事実を認めてしまうことになるからです。
もう少し分かり易くする為にある有名なお話をしましょう。
心理学で防衛機制という言葉があるのですが、そこで「酸っぱいブドウ」というお話があります。
ー酸っぱいブドウー
あ!木の上に美味しそうなブドウがある!!
子供なキツネ
ヨイショ!ヨイショ!!!あっれー、、、全然取れない、、、
子供なキツネ
ふん!!どうせあのブドウはとっても酸っぱかったに違いない!!
取る価値なんて無いよ!!!
子供なキツネ
というように「価値があるものを取れなかった」「失敗した」という事実を受け止めるのが辛くて、自分の心を守る為に「アレは価値が無いものだ」と思い込もうとする心の動きが防衛機制です。
まさにここで言うと「愛情を貰える」「スキンシップをして貰える」ことが、本当は欲しかったけど手に入らなかったブドウなんですね。
そしてこの【触れるな】という禁止令を決断すると、結果的に暖かさや思いやり、愛情などを軽視して生きていきます。
「別に愛情なんて無くても生きてけるし!」というように無理に強く生きていこうとします。
傷付くことなく強く生きていき、他者との心の触れ合いには目もくれないように生きて行ってしまうのです。
【触れるな】を緩めるための再決断
【触れるな】という禁止令を緩めるための再決断の方法。
それは、まず「自分が傷付いていること(傷付いたこと)」を受け止めることが大事です。
「あの時は本当に辛かった。大変だったな」
「言葉には出来なかったけど本当はイヤだったな、、」
と、言葉にして辛かった気持ちを受けとめるのです。
どうしても辛かった記憶や気持ちを直視するのは大変だと思います。
可能な限りで、少しずつで構いません。
その上で「他者との心の触れ合いが必要だ」「自分は愛情が欲しい、必要なんだ」と再決断して生きることを決めるのです。
そうすることで自分の辛さだけでなく、他者の辛さにも共感出来るようになっていきます。
【触れるな】から来る影響
【触れるな】という禁止令が原因で行ってしまうことや、この禁止令から来る影響がこちら。
・他者との接触を避けようとする
・表情や感情表現が少ない
・他人と気持ちで繋がることを避けようとする
・辛いことを辛いと思わず過剰に強く生きている
・辛い体験を覚えていない
・人との心の距離が遠いが、それを苦痛に思っていない
・人の感情を取り違える
(本当は悲しんでいるのに「この人怒っているな」など)
・人を頼らないし、人から頼られることを重荷と感じる
・持続的責任を避けようとする
・人との親密な関係や感情的な交流を心地良いと思わない
・「人に迷惑を掛けないこと」を過剰に大切にする
・他人といざこざがあると即座に身を引き、意見を戦わせることを避けようとする
・愛着障害
・回避性パーソナリティ障害
まとめ
以上、「存在」に関する6つの禁止令と再決断方法に関するお話でした。
禁止令は誰しもが持ち合わせていますが、自覚すると自分で緩和させることが出来ます。
まずは「知る」ことが大事なのです。
他の禁止令はこちら
1)「存在」に関する禁止令6つ【今回の記事】
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JCPA認定子育てコミュニケーション心理士。
関西の諸大学にて英語講師業、身体も心もほぐす足圧ボディケアも行っています。
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