【エゴグラム】母性的な優しさ(NP)の度合いが高い・低い人格の特徴と実例【交流分析】
プロファイリングと交流分析を使った「生き辛さの解消」や「相性・人間関係のモヤモヤ解消」のサポートを行っています。
JCPA認定子育てコミュニケーション心理士。
関西の諸大学にて英語講師業、身体も心もほぐす足圧ボディケアも行っています。
「優しい人が好きです」という言葉をよく聞きますが、実際にどんな言動が「優しい」と認識されるのでしょうか。
実は心理学でその人が持つ「優しさ」をビジュアル化して見ることが出来るのです。
今回お話しするのはそんな人間の性格を可視化して見ることが出来るエゴグラムという物のお話。
ここではエゴグラムにおける「優しさ(NP)」(Nurturing Parent : 保護的な親の自我、母性的な優しさ)に関する情報を纏めています。
目次
【NP:優しさ】の基本的な特徴
「優しさ(NP)」はエゴグラムで計れる自我の一つで、↓のグラフでは左から2つ目の項目、赤枠がそれに当たります。
エゴグラムを算出する特殊な心理テストを行い、↑の赤枠で囲っている部分の数値が
・18~20 : 極めて高い。「優しさ」の特徴が顕著に出る。高すぎるのも良くはなく改善する意識を持った方が良い
・13~17 : 比較的高い。”良い部分”として認識される場合が多いが、”悪い部分”として周りの人に認識される場合が出てくる(今回の場合「あの人は優しいけど過保護だ、押し付けがましい」など)
・8~12 : 良くも悪くも平均的
・3~7 : 比較的低い。NPに関しては悪い部分としての特徴が出てくる(不親切、人に関心が無いなど)
・0~2 : 極めて低い。優しさとは反対の「無関心」の特徴が顕著に出る。改善する意識を持った方が良い
というように診ることが出来ます。
「優しさ(NP)」の基本的な特徴は以下のようなもの↓
・見返りを求めず、無償の愛情を与えることが出来る母性的な優しさの自我である
・相手の為を思って行動することが出来、一般的に「あの人は優しい、親切だ」と認識される部分
・周りの人間から十分に愛情を受け取っていて愛着形成がしっかりと出来ていたり、愛情に関して余裕がある人ほどこの項目は高くなる傾向がある
・一方で高すぎる「優しさ」は過保護・過干渉・親切の押し売りになってしまい、相手は「この人は自分を信じてくれていないんだな、、」と認識してしまうため高すぎる「優しさ」も良くない
・この母性的な自我の部分は母親から受け継がれる事が多い
(母親が優しく、十分な愛情表現や無条件の肯定を与えている家庭の子供は「優しさ(NP)」が高くなる等)
・この「優しさ(NP)」の項目は「他人と良好な人間関係を保つこと」「自分の人格像を人から好かれる理想的なものに近づけること」に関して不可欠な項目である
【NP:優しさ】が高い場合の特徴
分析を行う際には「優しさ(NP)」の数値が高く出ている場合の「良い面」と「悪い面」のどちらも知っている方が分析しやすいので、以下に纏めます。
・他人から「優しい」「親切な人」と認識され、好かれやすい
・他人に与えた無償の愛情が他人から返ってくるため、自分も愛情で満たされる(好意の返報性)
・仲の良い友人が知人が多くなる
・他人を褒めるのが上手になる
・他人が幸福になるのを喜ぶ
・無条件の肯定をしてあげられる(貴方は私にとって大切な人だよ、貴方はあなたのままで良いんだよ) など
・「優しさ(NP)」が高すぎる場合、”教育ママ”のような過保護・過干渉・親切の押し売りになってしまう
・過保護・過干渉気味に対応され続けてしまうと、対応された方は「この人に自分は信じて貰えていない」と認識し、自己肯定感が下がってしまう
・しばしば自己犠牲的な思考・行動を取ってしまい、自分が不利益を被ってでも他人へ優しさ・愛情を与えようとしてしまう など
「優しさ」が高い人格の話し方の事例
「優しさ(NP)」の度合いが高い場合は以下のような言動が顕著に出てきます。
・大丈夫?手伝おうか?
・お疲れ様、頑張ったね!
・心配しなくても大丈夫だよ
・なんとかしてあげるから、任せて!
・気にしなくていいよ、飲みにでも行こう!
上記のように他人への気遣い、見返りを求めず相手が喜ぶことを与えてあげることが「優しさ(NP)」の自我の特徴です。
ただし、「優しさ」が高すぎる場合は
・貴方のためを思ってやっているのよ!
・全部やってあげるから、任せなさい!
などのような過保護、過干渉になってしまいます。
「優しさ」を下げる為には
基本的には「優しさ(NP)」は高い方が良いとされています。
ただ、グラフ上のスコアが18~20の顕著に出ている場合は「過干渉・過保護・親切の押し売り」になってしまうため注意が必要であり、可能であれば下げる意識を持つ方が良いのです。
「優しさ」が高すぎて過保護・過干渉になってしまっている場合の問題点としては、過保護状態で接した相手に
この人は自分を信用していないんだな
「過保護」で対応された人
僕(私)がこれを自分で出来ると思っていないんだな
「過保護」で対応された人
と思わせてしまう点です。
相手が心配なのはよく分かりますし善意なのも分かりますが、相手の「自分の意志で行動する経験」「失敗/成功する経験」を奪ってしまっているのです。
こういった事を避ける為に高すぎる「優しさ」を下げるよう意識したり、アドバイスをしたい場合に意識するべき(伝えるべき)ポイントを纏めます。
※ただしエゴグラムでは「高い自我を下げる」よりも「低い自我を上げる」方が行い易く、負担も少ないとされています。
また、人格はバランスが取れるものなので低い自我を上げることにより「高すぎる自我」が自然と下がってくる場合が多くあります。
・「この人なら自分が助けなくてもちゃんと出来る」と信じて敢えて手を貸さない
・「大丈夫、貴方なら出来る!」
・「可愛い子には旅をさせろ」の意識を持ちつつ、万が一の時には助けられる準備だけをしておく
・「自分でやってみなさい」と声を掛ける など
などのような言動を意識すると「優しさ(NP)」が高すぎる場合には改善を促せます。
要は「優しさ」が故に何でも自分がやってあげるのではなく、敢えて自分が手を貸したりせず「貴方を信じてる。貴方なら出来る」というスタンスで「信じている」ことを伝えると良い ということですね。
若干冷たい言い方をするならば「無関心」をちょっと混ぜるということです。
ただ「無関心」というよりは、「自分は自分、あなたはあなた」の意識を持ち、他者(自分の子供でも)の人生に過干渉しないようにする、、、というニュアンスが正しいでしょう。
【NP:優しさ】が低い場合の特徴
一方で、母性的な厳しさ(NP)が低すぎる場合は「私の知ったことじゃない」「あなたが自分でやれば?」というような『無関心』が顕著に出ます。
「無関心」の傾向が強い場合は、
・他人に関心をあまり見せず、そっけない態度を取る
・コミニュケーションを面倒に感じよく一人で動く
・しかし実際に他者に関心が無かったりコミニュケーションを嫌っている訳ではなく、内心は求めているもののそれをどう表現したら良いか分からない
・閉鎖的で心を開きにくく、他人からの愛情不足に陥っている
・他者への思いやりに掛けるが、一方で寂しがり屋な面が出てくる
などの特徴がよく現れます。
また、よく見られる言動としては
・「自分でやればいいでしょう!」
・「しっかりしなさいよ」
・「関係無い関係無い」
・「ダメじゃないか!」
・「私の言った通りでしょう!」
・「何やってるの!」 etc
というものが見受けられます。
そしてこの「無関心」の根本的な原因は「愛情不足」です。
エゴグラム上の点数でいうと
・0~2は決定的な愛情不足(愛着形成の不足)。病んでしまったり引き篭ってしまったり等、精神的にとても辛い状況になっています
・2~8は愛情不足気味。閉鎖的になったり人当たりがキツイ態度をとったりします
この「無関心」の傾向が強い場合の原因は他人からの無条件の肯定(あなたはあなたで良いんだよ、貴方が大事なんだetc)や愛情が十分に与えられていないことです。
愛情が与えられていないため、自分の中の「愛情の器」がカラカラになってしまっているのです。
“愛情のコップ”と表現されたりします。
自分の中の愛情が少なかったりカラカラに乾いてしまっていると、他人に対しての気遣いや関心を向ける余裕が無くなり、余計にそっけない態度を取ってしまう。
そしてその冷たい態度のせいで他人から愛情を貰うことが出来ず、更に愛情不足に陥る、、、という悪循環になります。
※この「他人からの無条件の肯定」に関してラジオでお話しています。
「優しさ」を上げるためには
人との良好な人間関係を築く上で「優しさ」の項目は必須であり、出来れば12~17点辺りが欲しい所です。
低すぎる「優しさ」を上げる為に意識したりアドバイスしたい場合に意識するべき(伝えるべき)ポイントを以下に纏めました。
(「優しさ」の項目の点数が低い人ほど↓の言動を意識して使うようにした方が良い、という事です)
・「そこが貴方の良い所だね」
・「本当は嫌だったんじゃない?大丈夫?」
・「貴方は私にとって大事な人なんだよ」
・「お疲れ様!」
・他人に個人的関心を示すよう努める(趣味、好きな物など)
・たまに人に小さな贈り物をする
・美しい・好ましい点を見つけて褒める など
要は他人の心に寄り添ってあげたり、その人が喜びそうなことを意識的にしてあげると良いということですね。
また、この記事の最初の方に書いてある「「優しさ」が高い人格の話し方の事例」を真似するだけでも効果があります。
・大丈夫?手伝おうか?
・お疲れ様、頑張ったね!
・心配しなくても大丈夫だよ
・なんとかしてあげるから、任せて!
・気にしなくていいよ、飲みにでも行こう!
いきなり全てを行う必要はなく、1つでも2つでも自分が実際に使えそうなものを選んで他人に投げかけるよう意識すると自分の中の「優しさ」や周りの反応も時間を掛けて変化してくるでしょう。
他人に愛される為にまずは「自分」が他人を愛する
以上、一通り「優しさ」の項目の高い場合・低い場合の特徴を見て頂きました。
そして取り分け「優しさが低い」場合が問題になりやすい反面、他人に関心を持てない人や愛情不足ぎみになってしまっている人を日常生活でよく目にすることもあるのではないかと思います。
現代人で多くの人がコミュニケーション下手だったりしますが、そもそも親や周りの人間からの愛情不足が原因で愛着形成が上手くいっておらず他人に無関心になってしまい、それが更に周りの人間に伝染してしまうという悪循環が起きているのです。
人に好かれたい・寂しい・仲の良い人が欲しいとは思いつつ「他の人なんてどうでも良いわ、知ったことか」「自分が辛いから自分のことで精一杯だわ」と思い、他人に冷たく当たってしまい余計に人と距離が出来てしまう
しかし、もし自分がこの悪循環に陥っているなーと気がつくことが出来たら、脱出するのは比較的簡単に出来ます。
それは「まず自分が他人に優しくする」ということです。
エゴグラムで「無関心」の傾向が高く出ている場合、どうしても他人に優しくするのに抵抗が出てしまうかもしれません。
でもその時の自分に出来るちょっとしたことだけでも他人に優しくしてみましょう。
・「元気?」と声を掛けたり
・誰かに「ありがとう」と言ってみたり
・コンビニで小さいチョコレートをお土産で買ってあげたり
・普段掃除をしない所を掃除してあげたり
何でも良いのですが、愛情が欲しい人ほど他人にちょっとした愛情・優しさを示してみましょう。
「好意の返報性」という心理学用語があり、人間は他人に何かをしてもらうと自分も何かしてあげたくなるものなのですよ。
ちょっとした愛情を1人にあげてもあげた分と同じぐらいかそれ以下しか返ってきません。
でもそのちょっとした愛情を10人・50人・100人にすれば多くの愛情が自分に返ってきます。
こうして「先に自分が周りの人に優しくする」ことで周りから愛情が返って来て『自分で自分の愛情不足を補える』のです。
これがとても大事であり、唯一「無関心」から自分で回復出来る手段です。
まとめ
以上、エゴグラムにおける「母性的な優しさ(NP)」に関する情報のまとめでした。
この記事が自分自身でエゴグラムを活用される方、他の方の性格分析をしてアドバイスされる方のお役に立てば幸いです!
また、この「優しさ(NP)」の事例として、とあるカップルさんの相性分析を行った具体的な実例を記事にしていますので興味がある方はこちらをどうぞ↓
各々が優しさを意識して、ちょっとずつでも愛情を与え合える世界になっていけば良いですね。
ではでは。
エゴグラムの他の性質の特徴はこちら!
・「こうすべき!」という父性的な「厳しさ(CP)」
・「何故こうなんだろうか?」という大人な「冷静さ(A)」
・「やりたいことする!」という自由奔放な「自由気ままさ(FC)」
・人から見て「良い人」「良い子」であろうとする「従順さ(AC)」
・エゴグラムのグラフの基本的な見方、アドバイスの仕方
プロファイリングと交流分析を使った「生き辛さの解消」や「相性・人間関係のモヤモヤ解消」のサポートを行っています。
JCPA認定子育てコミュニケーション心理士。
関西の諸大学にて英語講師業、身体も心もほぐす足圧ボディケアも行っています。
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